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【針と糸】海外生活から得られるものを教えてくれる1冊
結論から言うと、こちらもとてもいい本でした。
ご本人のエッセイということで、ベルリンでの執筆中のお話がメインでした。
ベルリンで執筆され日本で出版する。そんな生活がとてもうらやましいです。
しかし、この本でも書かれていますが、作者は幼少の頃に家族関係で苦労されたそうです。心中お察しします。
私はもう、母に愛情を求めてはいない。母から愛されなくても生きていけるという自信があった。今は、ただ母という存在をまるごと愛おしく感じる。愛情を受ける側から注ぐ側にまわったら、とても気が楽になった。
母も、誰かに愛されたかったのだと、今はそう思っている。
それまでの大変な生活があったにもかかわらず、ここまで気持ちを変化させることができることにとても感動しました。
また、「愛情を受ける側から注ぐ側へ」というところは、親になる自分にとって心に響きました。
慣れない子育てにイライラする事が多々ある中で、愛情を注ぐという発想はありませんでした。
子育てをするのが親の義務、くらいに考えていたので、考え方を変えて接してみようと思いました。
海外での生活を通じて、日本での生活のありがたみを実感させてくれます
また、ベルリンでの生活には大変共感する部分がありました。
4年前の年末にドイツを訪れたことがあり、その時の記憶を本書を読みながら辿っていました。
ドイツと日本の違うところ
- 駅に改札がないこと、
- 日曜日にお店が閉まってしまうこと、
- 年明けとともに街中に放たれる花火が多いこと。
やはり、初めてドイツを訪れる日本人にとっては、同じところで驚くのだなと思いました。
また、物欲が消えることについては、ドイツだけではなく、エジプトも同じかと思います。
残念ながら、エジプトにもったいない精神はありません。
しかし、人々が時間に追われず、マイペースで生きていること、日曜日の代わりに金曜日がお祈りのため多くのお店が閉まってしまうことは、重なる部分があると思います。
毎日いつでもカンタンに手に入れられる日本とは全く異なる環境での生活は、多くを求めず、あるものだけで楽しく暮らそうとする気力を湧かせてくれます。
エッセイとしてではなく、海外生活を通して日本での生活を見直すきっかけを与えてくれる1冊ともいえます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
Have a lovely evening!!
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