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ウッドマッケンジー(WoodMackenzie)は石油市場から太陽光発電コストへ、石炭輸入からEVへ、今年エネルギー業界の動向について分析しました。
以下の10の事象は2021年に、最後の1つは来年以降に予想される事象です。
Wood Mackenzieとは
通称:Wood Macは世界的なエネルギー、化学、再生可能エネルギー、金属、鉱業の研究およびコンサルタントグループ。
1.石油需要の大幅な伸びに価格が上昇
ファイザー、バイオンテック連合のワクチンがアメリカとイギリスで昨年12月に仕様が開始されました。それにより、コロナによる経済活動の停止も少しずつ緩和されていくと予想しています。
そして、経済活動の再開を機に、世界のオイル需要は660万バレル/日まで伸びると予想。これは、2020年の1,000万バレル/日の約2/3になります。
既に中国では、2021年第一四半期は、2019年の同時期と比べ増えると見ています。中国の石油需要の好転は、現実となる兆候を表しています。
つまり、2021年の世界的な活発な需要の伸びがそれを表しています。この傾向は2021年下半期まで需給バランスを引き締め、オイル価格を下支えすることになると考えています。
2.ガスや石油の発掘・生産部門は価格が上昇しても、もう1年は低迷する
生産部門への投資水準は2021年は3,000億ドルで横ばいとなる見込み。価格に対する反応は通常と反対となる模様。
通常、低価格は急速な削減を意味し、高価格の予備費と耐久力はサービス部門の最も安いコストを利用する熱意を上回ります。
プロジェクトはその環境や社会、企業統治の資格に基づいて判断されるようになっています。2020年には20ほどの大型プロジェクトが認可されると予想しており、これは2020年の10を超えます。
しかし、この数はパンデミック前のトレンドの半分に過ぎません。2020年のプロジェクト全てが低炭素、低コストの先駆者になるわけではありません。しかし、業界の利害関係者の願望の目指すところは全て同じです。
3.石油・ガス会社の低炭素エネルギーへの多様化は加速する
ヨーロッパのメジャー企業は無炭素成長の願望を既に打ち出しています。
そして2021年には、より明確にするため低炭素技術へ投資し無炭素社会の基礎を構築し続けます。
アメリカ政権交代、迫りくるCOP26、変化していく利害関係者の感情は、他のIOCやNOCに従うように圧力をかけてくることが予想されます。
4.そして、他の会社も二酸化炭素排出を少なくすることを目標にしてくる
気候変動に対する投資家の圧力がどのように高まっているかを示す兆候として、総額9兆ドルの運用を行う30のファンドマネージャーのグループは今月、2050年までにポートフォリオ全体で排出量をゼロにするという目標に向けて取り組むことを約束しました。
また、2030年までの中期的な目標として、地球温暖化を1.5℃までに抑えることも誓いました。来年早々、アメリカやイギリスの規制当局は、気候変動リスクと排出について話したTCFDでの勧告を採用するように働きかけていく。
TCFDとは、G20の要請を受け、金融安定理事会(FSB)*により、気候関連の情報開示及び金融機関の対応をどのように行うかを検討するため、マイケル・ブルームバーグ氏を委員長として設立された「気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」を指します。
出典:TCFDコンソーシアム、TCFDとは
規制当局と開発者の組み合わせた圧力は、排出量にコミットする企業、長期的な視線をもつ中での中期的な目標をもつ企業を増やすことを示唆している。
5.アメリカのシェールオイルで超大型取引が行われる
6.中東でない国で太陽光発電での買取価格は$13/MWhで最低を更新
7.世界の電気自動車の売上が400万ドルに(2020年比74%増)
コロナウイルスによる経済活動の落ち込みの回復を目的とした多くの国で実施された景気対策には、EV拡大支援が盛り込まれています。この対策は2021年に実を結ぶ可能性が高い。世界で売れている自動車のうち5%しかないEVの販売量の加速につながる。
8.より多くの政府が重要なエネルギー転換サプライチェーンに公平性を取り始めるでしょう
ジョー・バイデン大統領が就任すると世界は30-40年以内に無炭素社会に向けてのゴールに向かう政府が増えていく。低炭素エネルギーのサプライチェーンは今までより一層戦略的になっていくだろう。
9.中国、オーストラリアからの石炭輸入禁止は年内続く見込み
10.バイデン政権、気候対策へ慎重に
ジョー・バイデン氏は”気候変動について無駄にする時間はすでになく、今すぐ野心的に行動をすべき”と成約し大統領選挙に勝利した。
しかし、政治や経済の観点からみて現実的には彼が思っているより変化は現敵的という声も。石油やガス事業者からの反対もあるでしょう。そんな中で、パリ協定での内容も含む、重要な改革も必要です。
2050年の無炭素社会に向けた新しいゴールの設定が必要になります。よい具体的な政策、洋上風力発電事業への投資に対する制限をなくす等、が必要です。
科学は人間により明るい未来を見せる
憂鬱な2020年に最新科学と技術は希望をもたらしました。それらは、エネルギー業界にも貢献し無炭素技術、エネルギー効率の画期的な改善が図られました。
それらは2020年の暗闇から2021に明るい未来を運んでくれるでしょう。
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