音声解説はこちらをどうぞ。
カウアイ島電気協同組合は、世界有数の電力会社AESと共同で、ソーラーと蓄電池、揚水発電を組み合わせた発電所をカウアイ島に建設することを決定しました。
それぞれの容量は次の通り:
- ソーラー:35MW、
- 蓄電池 :240MWh、
- 揚水発電:24MW。
工事契約を結んだところで、詳細の工期等はまだ未定です。
この発電所だけで島の電力の約25%を賄うことができるようになります。
そして、カウアイ島は80%の電力を再生可能エネルギーで賄うことができるようになります。
揚水発電とは?
通常、水力発電は川の途中にダムを設置、水の流れを使って水車を回し、その力でタービンを回して電力を作ります。
そのため、川があるところにしか作ることができず、またある程度の水量が必要になります。
そこで開発されたのが揚水発電方式。上側と下側にそれぞれ貯水池を作り、それらを結ぶ水路に水車を取り付けます。
昼間の電力消費が大きいときに、上側のため池に貯めた水を下側に流すことによって電気を発電します。
そして、夜の電力需要が少ないときに、下側のため池に貯まった水を上側へ電力を使って持っていきます。
水の動きが揚水発電所の発電残量を表し、上にあるときは充電。下にあるときは、放電を表しています。
今回のカウアイ島の発電所の場合、想定される運転方式は以下の通り。まず昼間は、
- 昼間は太陽光パネルを使って発電し、夜に水を持ち上げる分の電力を蓄電池に貯める、
- 揚水発電を使って、需要が高い昼間の電力をカバー。
- 夜は蓄電池に貯まった電力を使って下側のため池に貯まった水を上側にもっていきます、
- 翌日以降、電力需給に合わせて繰り返し。
そうすることで、昼間に太陽光発電でできた電力を100%使い切ることができるので、再生可能エネルギー導入拡大に貢献しています。
ハワイの電力事情
ハワイ州では、これまで電力のほとんどを石油発電に頼っています。
しかし、決して石油が採れるわけではなく、全てを島外からの輸入に頼っています。
つまり、石油の値段によって電気料金は大きく変化し、何度も値上げが行われてきました。
電気料金を安くする、経済の安定化を図るため、1978年に原子力発電所の建設を禁止する法律が制定されていて以降、建設容認に対する声が増えていきました。
しかし、2011年に日本で起きた東日本大震災、東京電力福島第一原子力発電所事故を受けて、原子力発電所建設に対する意見は無くなりました。
再生可能エネルギーに対する意気込みは本気!!
そして2015年、”2045年までに再生可能エネルギーでの発電割合を100%”、とする法律をハワイ州の議会で可決しました。
これは全米初の試みになります。
今までも、2008年に開始した「ハワイ・クリーンエネルギー・イニシアチブ」のもと、再生可能エネルギー導入拡大に取り組んできました。
2018年時点で、既にハワイ州の約30%の電力を再生可能エネルギーで賄うことができています。
参考記事
Kaua’i Island Utility and AES to co-develop solar-powered pumped storage project