【エジプト旅行・駐在予定者へ】「インシャアッラー」で心を折らないためのエジプト人攻略法(完全版)

ピラミッド、ナイル川、古代遺跡の数々…。
エジプトへの旅行や駐在、ワクワクしますよね!日本では決して見られない景色が、あなたを待っています。
でも、ちょっと待ってください。
あなたがエジプトで本当に驚くのは、壮大な遺跡よりも、日本人と180度違うエジプト人の国民性かもしれません。
エジプト人の国民性
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「時間は守らないのが当たり前」
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「口約束は、ほぼ実現しない」
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「謝る代わりに『気にするな(マーレーシュ)』と言う」
この記事は、そんなカルチャーショックであなたの心が折れてしまわないように、そして、郷に入っては郷に従い、エジプトでの滞在を100倍楽しむための「エジプト人攻略マニュアル」です。
わたし自身の数々の失敗談とイライラ(笑)から学んだ知恵を、余すところなくあなたに授けます!
まず覚えるべき3つの魔法の言葉「IBM」

エジプト人の国民性を理解するには、彼らが日常的に使う3つの言葉を知るのが一番の近道。
現地では、この頭文字をとって皮肉を込めて「エジプトのIBM」と呼ばれています。これを理解するだけで、エジプトで感じるストレスの半分は原因がわかってスッキリしますよ。
- I:インシャアッラー(神のみぞ知る)
「この仕事、いつ終わる?」と聞くと、返ってくるのがこの言葉。「アッラー(神)が望むなら」という意味で、未来の不確実なことに対して使います。ですが、実際は「終わらせる自信がない時の言い訳」として使われることも多々! 彼らは根拠のない自信に満ち溢れているので、たいていは「任せとけ!」と大見得を切るのですが、その後にこの言葉が続いたら、少しだけ警戒レベルを上げましょう(笑) - B:ボクラ(明日)
「これ、お願いね」と頼むと、高確率で返ってくるのがこの言葉。「明日やるよ」という意味ですが、これを鵜呑みにしてはいけません。経験上、95%の確率で、明日やられることはありません。 こちらから何度もフォローしない限り、「いつかやる(かもしれない)リスト」の底に沈んでいくだけです。 - M:マーレーシュ(気にするな)
この言葉は本当によく聞きます。車をコツンとぶつけられた時、すれ違いざまに肩が当たった時、仕事でミスをされた時…日本なら「すみません」と謝罪する場面で、彼らが口にするのがこれです。「気にするなよ」という意味ですが、そこには「大したことじゃないんだから、俺も謝らないし、お前も気にするな」という、驚くべき自己肯定のニュアンスが含まれています。彼らは基本的に謝罪という文化を持っていないのです。
この「IBM」が、彼らの基本OS。
自分のせいでも他人事のように扱い、責任感はほぼ皆無。これを頭に叩き込むだけで、無駄な期待をしなくなり、心が楽になります。
【旅行者向け】短期決戦!エジプト時間を乗りこなすコツ

数日〜数週間の旅行でイライラしないために。これだけは知っておいて!
「あと1分」は「あと10分(以上)」と思え
エジプト人のドライバーやお店の受付で所要時間を尋ねると、本当によく「あと1分」という返事が返ってきます。
わたしも最初は、日本的な感覚で「もうすぐ終わるんだな」と楽観視していました。
しかし、実際には10分、15分と待たされるのが当たり前。
彼らと私たちの間には、致命的な時間間隔のズレがあるのです。
この事実を知っているか知らないかで、現地でのストレスは天と地ほど変わります。
待たされることは当たり前、と割り切りましょう。
タクシーでは「ナビを見せる」だけではダメ!
日本では目的地を告げれば連れて行ってくれるタクシーですが、エジプトではそうはいきません。
驚くことに、地図が読めないドライバーは本当に多いです。
これは、まだ学校に満足に通えない人も多く、読み書きができない人がタクシー運転手のような職に就くことが多い、という社会的な背景があります。
「じゃあ、スマホのGoogleマップを見せればいいじゃないか」と思いますよね?
残念ながら、それもほとんど機能しません。
なぜなら、彼らは地図記号や俯瞰図を理解するのが苦手だからです。
実際にわたしも何度も試しましたが、満足に目的地に着けたことは一度もありませんでした。
対策
自分でルートを完全に把握し、「次の角を右」「あの看板の先を左」と具体的に指示し続けるか、Googleマップの音声ナビをアラビア語に設定して、ドライバーに聞かせ続けるのが最も確実です。
観光ルートも、ドライバー任せにせず自分で計画しましょう。
行列には並ばない。声を上げた者勝ち!
エジプト人は待つのが大嫌い。
なので、スーパーのレジ以外で、彼らがきちんと列に並ぶことはほとんどありません。
個人商店や受付では、隙あらば前に割り込んできます。特に車の運転は顕著で、信号待ちで前に少しでもスペースがあれば、後ろからガンガン詰めてきて平気で前に割り込みます。
これは文化なので、イライラしても仕方がありません。
お店では、遠慮せずに空いている店員を見つけて大きな声でアピールするのが正解。黙っていると、いつまで経ってもあなたの順番はやってきませんよ。
【駐在員向け】長期戦!エジプト人と仕事をする心構え

郷に入っては郷に従う。でも、仕事は進めたい。そんなあなたへ。
口約束はゼロと心得るべし
「これからやる」は、彼らにとっては「いつかやるかもしれない、遠い未来の出来事」です。
「明日やる」という伝家の宝刀に至っては、「来年の明日かもしれない」くらいに思っておきましょう。
口約束が達成される確率は、体感で10%未満です。
全ての指示には、必ず「明確な期限」を設定しましょう。
「〇月〇日の〇時までに」と具体的に伝え、さらに何度もリマインドするのが基本です。
期限を決めなければ、彼らは動きませんし、終わらなかった場合に「期限を切らなかったお前のせいだ」と責任転嫁されることさえあります。
「段取り八分」は存在しない。行き当たりばったり劇場を楽しもう
日本では「段取り八分」と言いますが、エジプトにそんな言葉はありません。
全てが行き当たりばったりです。
わたしが経験した、忘れられないエピソードがあります。
ある日、事務所の窓が砂嵐で壊れ、業者に修理を依頼しました。
翌日、作業員が来てくれたのですが、なんと修理に必要なセメントを忘れてきたのです。
まあ、ここまでは「うっかりさんだな」で済みます。
驚くのはその次。
彼らはセメントを取りに帰るでもなく、「じゃあ、また今度」とその日は作業を中止して帰ってしまったのです!
さらに驚くことに、その場にいたエジプト人の同僚(監理役)は、文句一つ言わずに彼らを帰しました。
事務所の所長も、報告を受けてあっけにとられるばかり。怒る気力も起きない、とはこのことです。
これが、現地の「普通」なのです。この行き当たりばったり劇場を「面白い」と思えるようになれば、あなたも立派なエジプト通です。
気長に待つスキルが身につき、人生がおおらかになる
人を待たせるのが得意な彼らと付き合っていると、最初はイライラしますが、やがて悟りの境地に至ります。
日本にいると秒単位で動く電車が当たり前で、どうしてもセカセカしてしまいますが、エジプトでは「ゆとりをもって気長に待つ」というスキルが強制的に身につきます。
わたしも、エジプトで生活したおかげで、だいぶおおらかな性格になりました。
何でも完璧にこなそうとすることがなくなり、程よく手を抜けるようになったのは、人生において大きな収穫だったと思っています。
【コラム】知っておくと10倍面白い!エジプト文化のウラ側

イスラム教のルールは、意外とユルい?!
エジプトはイスラム国家なので「お酒や豚肉は絶対NG」と思われがちですが、実はそうでもありません。
サウジアラビアほど厳格ではなく、若い人を中心にお酒を飲む人は意外といます。
ただし、豚肉を食べている人は本当に見たことがありません。彼らの中にも「酒はOK、でも豚はダメ」といった個人ルールがあるようです。
また、コーランでは健康を害するものも禁じられているため、本来タバコもNGのはずですが、喫煙率は非常に高いです。シーシャ(水タバコ)にマリファナを混ぜて吸う人もいて、何度か勧められたこともあります(もちろん丁重にお断りしました!)。
日本人が思うほど、戒律を愚直に守っているわけではない、ということです。
男たちが立派な「ヒゲ」をたくわえるワケ
中東の男性の立派なヒゲ。あれにはちゃんと理由があります。
- ナメられないようにするため:年功序列のない実力社会なので、若くして出世すると年上の部下を持つことになります。威厳を出すためにヒゲは必須アイテムなのです。
- 若く見えないようにするため:上記と同じ理由で、若く見られると交渉などで不利になるため、あえて老けて見えるようにします。
- 女性にモテるため:現地の女性に聞くと、やはりヒゲがある方が男らしくてカッコよく見えるそうです。
わたしもジムで仲良くなったトレーナー(身長190cm超え、ムキムキで立派なヒゲ)に、自分と同じくらいの年齢だと思って「30代半ば?」と聞いたら、実は10歳も年下で、ものすごくショックを受けさせてしまったことがあります。年齢の話は慎重に…。
ちなみに、そんな彼らも冠婚葬祭など正装の場では、きれいにヒゲを剃ることが多いです。
もし仕事仲間がツルツルになっていたら、何かあったのかもしれないので、ヒゲの話題はそっとしておいてあげましょう。
でも、ここが凄い!エジプト人の意外な魅力

ここまで読んで「エジプト人、ヤバいな…」と思ったかもしれません。
でも、彼らには日本人にはない、素晴らしい魅力がたくさんあります!
サッカーへの情熱が国を一つにする!
仕事はテキトーでも、サッカーへの情熱だけは本物です。
老若男女、全国民が熱狂します。
特に英雄モハメド・サラーの試合がある日は、国中がお祭り騒ぎ。
カフェの店員もお客さんも一緒にテレビに釘付けになる光景は、彼らの共同体意識と情熱の表れ。
一番驚いたのは、ラジオでサッカー中継をしていること。
ボールの位置が分かりにくいのに、それでも実況するんです。
それくらい、彼らの生活にサッカーは根付いています。
メモは取らない。でも記憶力は超一流!
彼らは会議でもレストランでも、メモを一切取りません。
でも、記憶力は抜群です。
大人数のレストランで、ウェイターが複雑なオーダーをメモなしで完璧にさばく姿には感動すら覚えます。しかも、ほとんど間違えない!
(ただし、お水を持ってきて、みたいな”お金にならない”お願いは光の速さで忘れます。本当に現金な人たちで面白いですよ)
この記憶力のおかげで、会議で自分が忘れていた部分を助けられたことも数知れず。
おそらく、メモを取らない文化だからこそ、記憶力が鍛えられているのでしょう。
【まとめ】あなたの常識が、気持ちよく壊される場所

エジプトは、あなたが日本で培ってきた常識や価値観を、気持ちいいくらいに木っ端微塵にしてくれる場所です。
時間にルーズで、口約束は守らない。でも、驚くほど記憶力が良くて、人懐っこくて、情熱的。
「日本の当たり前」という小さな物差しを捨てて、「マーレーシュ(気にするな)」の精神で彼らの文化に飛び込んでみてください。
最初はイライラするかもしれません。
でも、そのカオスを「面白い!」と乗りこなせた時、あなたはきっと、一回りも二回りも大きな、おおらかな人間になっているはずです。
この攻略本が、あなたのエジプトという冒険の旅を、最高の体験に変える一助となれば、これほど嬉しいことはありません!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
Have a lovely evening!!
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